
隙間を埋める 2010/9月
米子医療センター 院長 浜 副 隆 一
今年の夏は、熱中症患者の搬送が相次ぎ、伯備線ではレールのゆがみで列車が足止めされるなど、まさに「茹だる」ような猛暑になりました。暑かったのは気候だけではなく、サッカーワールドカップに世界中が熱狂し、日本チームが予選リーグで勝ち進む毎に日本中が沸きました。スーパースターの個人技で保っていたチームは早くから崩れ去り、チーム力としての戦力が勝敗を分け、日本は快進撃で決勝トーナメントに駒を進めました。試合敗退後にキャップテンの長谷部誠選手が残した「このメンバー、このスタッフと、もっともっと試合がしたかった。」という言葉に感動を覚えたのは私ひとりではないでしょう。お互いを認め合い、潜在能力を含めお互いの力が最大限に引き出された証しだと思います。試合では相手チームによって、また場面によって様々なフォーメーションを使い分けていますが、それぞれのフォーメーションを活かすには役割分担や分業をこなすだけでは不十分で、縦横の隙間を埋めることができなければ、ボールをキャッチすることもキープすることも難しいと思われます。医療界においても多職種間によるチーム医療が叫ばれて久しくなりますが、未だしっくりと隙間を埋めきれているとは言い難い状況にあります。チーム医療においても、「職種間の隙間を如何に埋めるか!」が成果を占う鍵であると思います。
さて当院は、独法化後の経営状況が悪く、建て替え整備が困難な病院に指定されましたが、平成19年度に新病院建設を踏まえた経営改善計画(再生プラン)を策定し、その達成に向けて努力してきました。今年度が再生プランの最終年になりますが、当院は昨年度末に資金捻出額の最終目標を達成することができました。再生プラン対象病院58病院のうち最終目標を達成したのは、当院を含めて未だ9病院に過ぎません。当院のように250床という中規模病院では診療報酬上の恩恵は限定されていますので、職員みんなの取り組みがあればこそ、着実な成果が生み出されたものと思います。そこで7月に、米子医療センターの建て替え構想について機構本部のヒアリングを受け、外来と病棟一括の「全面建て替え」の方針を伝えました。国立病院機構には「全面建て替え」の場合は竣工までに1/3の自己資金を持つというルールがありますので、竣工までの期間に少しでも多くの預託金を積み上げる努力が求められています。
当院の建物は築後41年を経過し著しく老朽化していますので、病院の建て替え整備なくして専門性の高い医療を提供することは難しい状況にあります。鳥取県の平井伸治知事は、6月の定例県議会で「米子医療センターに鳥取県として腎センターを設立し、腎臓移植を推進する」と答弁され、7月末には、新病院建設と腎センター設置が早期に実現できるよう、国立病院機構の矢崎義雄理事長に要望して頂きました。当院の医療機能が鳥取県の医療計画に必要不可欠なものとして評価されたことを喜ぶとともに、新病院建設に向けての暖かいご支援に心より感謝しています。当院としましても、できるだけ早い時期に病院の建て替えを実現し、「がん医療」と「腎医療」の充実を図って地域に貢献して参りたいと思います。職員の皆様のより一層のご協力とご支援をお願い申し上げます。